スマホゲームが普及した現在、「廃課金」という言葉をよく耳にします。廃課金とは、生活に支障をきたすほど大金をゲームに課金してしまうことを指します。ガチャの誘惑に負けて、気づいたら借金地獄に陥っているなんてケースも。

ここではそんな廃課金の実態と末路、予防法についてまとめました。

廃課金の末路

廃課金の末路は様々ですが、もっとも悲惨なのは金銭面の問題と社会への不参加による問題があります。

逆に言えば、一般の方からすれば「そんなゲームに毎月数十万円も使うの?」としても、資産が億単位あるなら趣味の領域と言えるでしょう。

また、いわゆるガチャをYouTubeなどのライブで放送して収益が上がるなら、それは事業支出になりますので問題ありません。

つまりは、一般的な方が社会生活を削ってまで課金してしまう場合に、廃課金の末路として一番厳しい状況になってしまうというわけです。

金銭面の問題

廃課金ユーザーは、ゲーム内課金が月収を上回り、借金地獄に陥るケースが少なくありません。中には、家賃や公共料金の滞納、自己破産に追い込まれる人も。

生活費の圧迫

廃課金によって、本来なら食費や家賃、光熱費に充てるべきお金がゲームに消えていきます。気づいたときには手元にお金がなく、生活が苦しくなるケースが多発しています。

借金の悪循環

廃課金のために借金をしてしまい、返済のために新たな借金を重ねる悪循環に陥ります。消費者金融やキャッシング、カードローンを併用することで、気づけば借金が雪だるま式に膨れ上がっています。

信用情報の悪化

借金の返済が滞ると、個人信用情報機関に延滞情報が登録されます。ブラックリストと呼ばれるこの状態では、新たな借り入れやローン、クレジットカードの作成などができなくなります。

家賃滞納からの強制退去

廃課金が原因で家賃の支払いが滞ると、大家から明け渡しを求める通知が来ます。それでも支払えなければ、強制退去を求める裁判を起こされ、最悪の場合は路頭に迷うことになります。

公共料金の未払いによる差し押さえ

電気、ガス、水道などの公共料金も、ゲーム課金を優先して滞納すれば供給停止に。さらに裁判所から支払い督促の通知が来て、給与や預貯金、不動産などの差し押さえを受けるおそれがあります。

仕事や学業への悪影響

夜中までゲームに没頭するため、寝不足に。仕事や学業がおろそかになり、就職や進学のチャンスを逃すことも。

寝不足による健康被害

夜中までゲームに熱中するため慢性的な寝不足に陥り、心身の健康を損ねます。重度の場合、睡眠不足による免疫力の低下から、生活習慣病などの病気につながることも。

勤怠不良解雇

寝不足でも平気だと思っていても、会社で居眠りをしたり遅刻や欠勤が増えるなど、勤務態度の悪化は免れません。注意されても改善できなければ、最悪の場合は解雇処分を受けるおそれが。

成績不振留年

学生の場合、授業中の居眠りや欠席が増えて出席日数が足りず、留年を余儀なくされることも。テスト勉強をしないため成績が振るわず、希望の就職先から内定をもらえないといったケースもあります。

人間関係の悪化

ゲームが最優先になると、友人との遊びや飲み会をドタキャンしたり、会話中もゲームが気になって上の空に。次第に友人が離れていきます。

ドタキャン癖による信頼喪失

ゲーム優先でドタキャンを繰り返していれば、約束を守らない人だと思われ、次第に友人から誘われなくなります。信頼を失った人間関係の修復は簡単ではありません。

コミュニケーション不全

ゲームの話題ばかりで現実の会話についていけなくなると、友人との交流も減っていきます。ゲームに没頭するあまり、相手の話を聞かなかったり、会話中も上の空だったりすれば、関係が悪化するのは必至です。

家族関係の悪化

廃課金が原因で、家計のやりくりに苦労する配偶者やパートナー。ゲーム依存に気づいて注意する親。関係が悪化すれば、別居や離婚、親子の断絶など、家庭崩壊の危機につながりかねません。

依存によるメンタルヘルスの問題

ゲーム依存は、WHOが認定した「ゲーム障害」という国際疾病。現実とゲームの区別がつかなくなったり、ゲームができないとイライラしたり、人格が変わってしまう危険性があります。

現実とゲームの区別がつかない

ゲームの世界に入り込みすぎて、現実との区別がつかなくなる危険性があります。他人を傷つけたり、社会のルールを無視したりするなど、ゲームと同じ感覚で現実世界に臨んでしまう例も。

禁断症状イライラ

ゲームができない環境では、手が震えたりイライラしたりする禁断症状が。無性にゲームがしたくなり、現実逃避に走る悪循環に陥ります。

攻撃的な態度感情コントロールの欠如

ゲームができないことへの苛立ちから、些細なことで感情的になったり攻撃的になったりします。怒りっぽくなる、暴力をふるう、といった感情コントロールができない状態に。

廃人化ひきこもり

ゲーム以外のことに興味を失い、食事や睡眠などの基本的欲求さえ後回しに。昼夜逆転の生活で心身のバランスを崩し、外出をせず引きこもる廃人と化してしまいます。

うつ病自殺願望

借金の返済に追われストレスがたまる一方、ゲームもうまくいかず現実逃避もできなくなると、うつ病を発症するおそれも。自暴自棄になって自殺願望を抱くなど、最悪の事態になりかねません。

廃課金の実態

廃課金の実態についても状況によって様々ですが、近年のいわゆるソシャゲ関連が問題として取り上げられる場合が多いです。

その理由として、ゲーム内で社会性が構築されるために、簡単に抜けられない状況があるものだと考えられます。

廃課金になりやすいゲームの特徴

アイテム課金制のゲーム、特にランダム型のガチャ要素が組み込まれているソーシャルゲームは廃課金になりやすい傾向があります。レアアイテムが当たるまで何度もガチャを回す行為が、ギャンブル性を煽り、廃課金の入口に。

廃課金の平均的な金額

一般的に、月10万円以上使っていると廃課金と言われています。20代女性の平均年収からすると、月4万円以上の課金が生活に影響を及ぼすレベル。中には、1ヶ月で20万円以上注ぎ込む猛者も。

廃課金する人の属性

廃課金者の職業は、会社員や公務員など、ごく普通のサラリーマンが多数。年収的には全国平均程度の400~500万円の人がほとんどで、決して高所得者ではありません。

なぜ廃課金してしまうのか

廃課金してしまう理由として、最も問題点としてあげられるのは、運営側の姿勢といえばそれまでです。

一方で、未成年者が廃課金してしまうのは運営側に対して責任を問いやすい一方で、正常な判断ができる成人の者が運営側に対して責任を追及するのは、倫理上の観点を抜きにすれば難しいものがあります。

とはいえ、社会問題になるほどの廃課金は、どういった状況で発生してしまうのでしょうか。

課金額把握が難しい

スマホ決済やクレジットカード払いだと、いくら課金したか実感しにくく把握が難しくなります。今まで8万円課金していたなんて気づかないうちに、気軽にお金を使い過ぎてしまうのです。

ゲーム内の仲間意識

ソーシャルゲームは、チームを組んで協力プレイするスタイルが主流。仲間と一緒に強敵を倒す快感から、同じチームメンバーに「迷惑をかけられない」「置いていかれたくない」という気持ちが芽生え、課金に走ります。

育成要素による愛着

キャラクターは課金すればするほどレベルが上がり、愛着が湧いてきます。「ここまで育てたんだから」と手放せなくなり、無課金に戻れなくなるのです。

承認欲求の充足

課金額に比例して、ゲーム内のランキングが上がったり注目されたりします。「無課金では目立てない」と感じたユーザーは、承認欲求を満たすために課金する傾向に。

ギャンブル性の高いガチャシステム

ソーシャルゲームに組み込まれたガチャは、まさにギャンブル。レアが当たればいいけど、外れたら「次こそは」と課金が止まらなくなります。

無駄になる恐怖からやめられない

今までに費やした課金が無駄になるのが怖くて、ゲームを辞められないユーザーも。「いつかは取り返せる」と根拠のない期待から、さらなる課金に走ります。

    廃課金を防ぐために

    いわゆるガチャについては、一定の射幸性があることもあって、これが中毒性を持っているとみることができます。

    ガチャについても食べ物とは違って食べたからといって満足するものではなく、目当てにしているものが出現しなければ、簡単な手続きで何度も課金を行える点も問題があるでしょう。

    比較できる例として適切ではないかもしれませんが、パチンコやスロットは、営業時間が決まっていて、また店舗まで行く必要がありますが、これをスマホ上で手軽にできるとすれば、手続きの簡便さについては理解しやすいかもしれません。

    廃課金を防ぐためには、どのような心がけや決まり事が必要なのでしょうか。

    課金額に上限を設ける

    ゲーム内課金には、1ヶ月の上限金額を設定しましょう。1万円以内など、自分でルールを決めて厳守することが肝心です。

    課金しにくい環境を作る

    クレジットカード決済をプリペイドカードに変更したり、スマホに課金制限をかけるなど、物理的に課金しづらい環境を整えましょう。

    ゲーム以外の趣味を持つ

    ゲーム以外に打ち込めるものを見つけましょう。スポーツや旅行、読書など、他の楽しみがあれば、ゲームへの依存度が下がります。

    ゲームはあくまでゲームと意識する

    ゲームはリセットすれば終わり。現実の人間関係や仕事は取り返しがつきません。課金したゲームデータは「いつか無駄になるもの」だと意識しましょう。

    廃課金で借金した場合の対処法

    廃課金で借金した場合の対処法は、基本的にゲームを辞めることが手っ取り早いです。

    しかし、すでに借金が大きくなりすぎた場合には、この借金についてどうにかする必要が出てきます。

    支出見直しと収入アップ

    まずは支出を見直し、ゲーム以外の浪費を削減。光熱費の節約や、保険の払い込み停止など、固定費を減らすのが効果的。副業やお小遣い稼ぎで臨時収入を得るのもおすすめです。

    専門家への相談

    ゲーム依存の解消には、精神科医や専門カウンセラーに相談を。借金問題に関しては、消費者金融の相談窓口や、弁護士に助言を求めましょう。

    債務整理の検討

    借金返済が困難なレベルなら、弁護士に相談の上、任意整理や個人再生、自己破産などの債務整理を検討すべきです。

    まとめ

    ゲームは適度に楽しむ分には問題ありませんが、廃課金にハマると、借金や精神疾患など、人生を狂わせるリスクがあります。

    ゲーム内の仲間や欲しいアイテムよりも、現実の生活を大切にしたいですね。

    もし廃課金に陥ったら、一人で抱え込まず、周囲や専門家に助けを求めましょう。

    管理人より

    廃課金ではないのですが、管理人も20年前ぐらいに初期のインターネットゲームに没頭した時期がありました。(40時間~50時間ぐらいゲームをして8時間寝るみたいなサイクル)

    当時は、そういったゲームがウルティマオンラインとエバークエストというゲームぐらいしかなかったもので、新しい形態のゲームということもあって私のようなゲーム好きは熱狂的に遊んでいたものです。

     

    さて、当時のゲームに対する支出は金額的に近いものはありますが、ちょっと性質が異なります。

    今では考えられませんが、昔のインターネットは電話による接続であったために「テレホーダイ」という定時定額の時間帯以外に遊ぶと電話代が掛かるような状況でした。

    この電話代で金額的に今の廃課金に近い支出をしている方がいたと思います。

     

    とはいえ、私としてはお金よりも多くの時間を使ってしまったというのが反省している点です。(後悔はしていません)